メッセンジャーナル

細川邦子の市議会だより・事務所通信
2011  Spring Vol.38 <最終号>


自治会に期待される自治の拠点の役割



いつでもだれでも参加できる自治会

 さいたま市が誕生し今年で10年になりました。  市政全体を見れば、市政への市民参画や市民意見の反映に向けて、公募委員、パブリックコメント、市民活動支援、協働への取り組み、広報・広聴機能、情報公開の充実など、いろいろな取り組みがなされてきました。しかし、そのほとんどはテーマ型の市民活動やNPOなどに関わる市民が中心です。  市民が自分たちのまちをよくしていくためには、より多くの市民の参加が求められます。そのためには、いつでも誰でも、平等に参加できる仕組みがなくてはなりません。それを満たすことができるのが「自治会」です。

存在意義が増す地方主権の時代

 自治会は、「同じ地域の住民」というつながりで成り立つ組織として、そこに住む全世帯が属するという原則があり(強制はできない)、各世帯の全員が構成員になるという特徴があります。また、「良好な地域社会の維持・形成に資する地域的な共同活動を行うこと」を目的としていることから、その活動には行政との関係が欠かせません。そのことがともすれば、これまで行政の下請け的な役割や地域の要望をまとめて行政にお願いする役割を担うものとされがちでした。でも、いまや時代が自治会に求めているのは、行政と対等な立場で課題を共有し、その解決に向けて協働していくことです。  今後、地方分権がさらに進むと、地域社会を代表する自治会の存在意義はより大きくなるはずです。

開かれた民主的な自治組織として

 これからの自治会は、地域社会全体を代表する責任のもと、公正・公平で透明な民主的組織として、その団体意思を構築していく必要があります。今後はテーマ型市民活動団体やNPOとの連携をすすめ、地域の人材を発掘するなどして、住民の参加意識を高め、活性化をはかることが課題です。そのプロセスこそが住民自治として問われることになるでしょう。  安心して暮らせるさいたま市は、行政だけでは決してつくれません。市政を身近に感じ、自治意識をもって関わる市民がどのくらい増えるかが鍵となります。住民として誰でもが関わることのできる自治会が、だれにでも身近な、そして魅力的な組織であることがますます求められていきます。


●2月議会トピックス
選挙を控えた議会は、思惑が見え隠れします

新年度予算からは読みとれないさいたま市の将来像

 総額7,550億6,524万3,000円(昨年度より4.5%増)。民生費が約152億円も増え、市税の増収分(約34億円)を見込んでも赤字。不足分は国・県からの支出金や市債の増額で補う厳しい予算編成です。  平成23年度予算は、市長の基本姿勢(現場・市民生活重視、コミュニティ再生、市民力を活かすまちづくり)を軸に市長マニフェストへの優先的予算配分、子育て、健康長寿、さいたまブランド、などへの重点配分が見られます。  主な新規・拡大事業は、特別養護老人ホーム建設支援、多目的広場の整備、認可保育所の増設、子ども総合センター(旧大原中跡地)の整備、子宮頸がん・肺炎球菌予防ワクチン等の無料接種、スポーツコミッションの創設、スクールサポートネットワーク、学校安全ネットワークの推進、電気自動車普及施策の推進、総合防災情報システムの構築、ノーマライゼーション理念を推進する事業……など多数。  政令市初の取り組みも見られますが、全体的に個々個別の課題への取り組みばかりが目立ち、その軸となる政策の方向性、改革のめざすところと効果、さらには、さいたま市が向かう将来像やビジョンなどがよく見えないのが気になります。  私は予算案には賛成しましたが、市長には市のトップリーダーとして、より大きな発信と「さいたま丸」の大きなかじ取りを求めていきたいところです。

《ひとこと》
 市政でも「絆」を重視し、市民とともに築いていこうとする市長の基本姿勢、戦略的な事業展開はおおいに賛同します。しかし、市民の力を活かし協働の姿勢で事業をするためには、行政は時間をかけ、市民との十分な協議を経て相互理解を得ていくことが欠かせません。市民の協力は市民の自発的想いがあってこそ大きな力となるものです。市民が公共心をもって、その力を発揮できる環境を整備するのは行政の大事な役割です。

 議員報酬を減らして教育費に――  予算案の修正は初めてのこと?

 4月から11月までの議員報酬と政務調査費を削減し、削減分の約7,108万3,000円を教育費(とくに学校警備費)に回すという、予算案の修正案が議決されました。  その背景には、学校警備員を段階的になくし、ボランティアによる「学校安全ネットワーク」を構築したいという市長の提案に反対の動きがありました。それを支持する自民党・公明党を中心に削減反対の議会決議が可決されました。それを受けて市長が警備員費を削減するなら、自らの議会費を削って警備員整備費に充当しようというものです。しかし、教育長の見解では現場への配慮は十分になされているとのことですから、わたしはあえて予算案を修正する必要はないと判断しました。  ただし、別の議論として、議員報酬や政務調査費の削減には同意するところであり、その削減分は市政全般を考慮し補正の段階で活用すればよいと考え、この予算への修正議案には反対しました。  議員報酬や政務調査費の削減については、選挙直前のパフォーマンスと言われないように11月から先の議論が必要です。

《ひとこと》
  これまで、さいたま市議会の過半数を占めてきた「いわゆる与党体制」がくずれ、とくに市長への対抗意識が強い現在は、本来あるべき活発な議論、議案への修正、否決が生じています。大いに歓迎すべき是々非々の対応とみなしたいところですが、残念ながら自民党・公明党による政局がらみがだれの目にも透けて見えてしまうのは否めません。

自治会の役割が問い直される  神明地区の浦和区統合を求める請願

請願者の主張:8年前に行政区ができたとき、浦和市時代の南自治会は浦和区と南区に分断された。それ以来、二重行政や生活面の問題などが生じているので、浦和区へ編入し元の統一区域に戻してほしい。  現段階で反対の意見表示はない。署名による地域住民の十分な合意は図れたものの、関係するすべての自治会長の印がないと行政は区割りの変更を認めない。しかし、一自治会の会長は行政が変更に前向きであるという意向を示さないかぎり自らは印を押せないと言う。よって、議会の意思決定で行政を動かしてほしい。
行政の主張:
行政区の区境を決定する際、地元自治会は当時行政が提示した案を現在の区割りに変更したいと申し出、その意向に沿って現在の区割りが決定した経緯がある。行政としては関係する4自治会の総意であれば自治会長の印をもって変更は可能である。

《ひとこと》
  一度住民意思の総意として自治会長印をもって法的に決定したことを変えるのであれば、同じく自治会長の印が必要であるとする行政の見解は妥当だと考えます。  自治会長の意思と住民の総意が違うのであれば、それは自治会内で民主的プロセスを経て解決すべきものであり、議会が誘導すべきものではありません。その動きこそが住民自治であり、自治会のあるべき姿ではないでしょうか。  自治会は、その地域にいる人が原則全員参加の地縁組織だからこそ、住民自治による団体意思としての会長印は意味があり、行政が認めるところとなるのです。そうでなければ、自治会の団体意思がどこにあるのか行政としては確認できません。にもかかわらず、民主的に合意形成がなされない自治会があるとすれば、それはそこにかかわる住民の課題でもあります。


以上の見解から、この請願を私は不採択にしましたが、自民・公明・共産党の会派を中心に請願は「趣旨採択」とされました。

※請願の「趣旨採択」って何ですか?  選挙を目前に控えた請願には、通常であれば不採択とするものでも、選挙がちらつき反対しづらいと思う議員が多く、この事例のように「趣旨はわかります」しかし「実現は?」とする「趣旨採択」がまかりとおります。実際に行政に強く働きかけて実現させようとするのでなければ請願は不採択。「主旨採択」は請願者に対しても無責任な選択ではないかと考えます。

市長の埼玉改援隊に「緊急質問」、  マニフェストの一部撤回決議が可決

 市長が中心となって結成した政治団体「埼玉改援隊」のマニフェストに議会改革の項目があります。決議は、それが議会軽視であるとして削除を求めるもの。これは市長の記者会見時での発言「応援する候補者が議会で過半数の議席をとれるように云々…」に対し、「市長が議会で与党体制を作ろうとするのは二元代表制を無視した発言である…」として厳しく追及。そもそも市長の発言が不注意であったのは否めないが、ほかの政治団体の主張に対して議会で撤回を求めること自体ナンセンスであり、わたしは反対しましたが、自民党・公明党・共産党の連携で可決されました。

《ひとこと》
 これは、市政の諸課題を論じる議会の本会議で、あえて時間をかけて論じる問題でしょうか? 選挙がらみの政局がここでも見えてきます。  ここで問題にされていることは「二元代表制」(市民が市長と議会(議員)の両方を直接選出する代表制)という地方自治の根幹です。市長が自分の与党体制確保に向けた表明をすること自体が理解しがたいところですが、これを問いただしている側も相川市政時代では議会での与党宣言をした経緯があります。  メッセンジャーナルでも繰り返し述べてきましたが、市政の発展に向けての協力体制は当然必要ですが、あえて与野党意識をもつならば、議会全体が市長に対しては野党意識で臨むべきです。  仮に、「市長といかに近い関係にあるかをアピールする議員」「それを議員の力量と勘違いする市民」「それを利用するような市長」がいるとすれば、市民に対しての公平・公正な市政運営は保てません。  二元代表制における市長との距離こそ、議員・議会をチェックする一つの視点にもなるでしょう。



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