![]() 2011 Spring Vol.37
国政が混迷し進むべき方向が見えないまま、先進国の歴史でも初めて体験するような厳しい財政危機が進んでいます。その根底には世界に類を見ない速さで進んだ少子高齢化、労働人口(15〜64歳)の減少があると言われています。 働く人が減り続けていきます。1995年に8700万人いた労働人口は、2050年には5200万人台とまで予測されています。高度成長時代にその基礎ができた年金や社会保障などのシステムは、その基盤を支えた労働人口の減少で、今や抜本的な見直しと改革が余儀なくされているにもかかわらず、その対応が遅れています。一方、先日発表された国の23年度予算案は、収入が必要額の半分にも満たず、不足分をまた借金で穴埋めするもの。歳出の3割を占める社会保障費の増加はとどまるところを知らず、子ども手当てなどマニフェスト実現経費を含めた一般会計の総額は過去最高額の92.4兆円。税収はその半分以下のため、44.3兆円の新規国債の発行で不足分を補充。国民1人あたりの借金は524万円にも達します。 20年後さいたま市の高齢者は30.5%に。さいたま市でも23年度の財政見通しが発表されました。マニフェストにある市長公約や義務的経費以外は3〜10%削減する方針にも関わらず、生活保護費などが増加し250億円の財源不足。歳出は昨年をさらに上回り4600億円を超える模様。厳しい財政状況が明らかになりました。そこで、さいたま市の将来人口予測を見てみると、123万人の人口は数年でピークを迎え、その後は減少するものの100万人台を維持。しかし、現在19%の高齢化率は10年後に26.2%、20年後には30.5%とも予測されます。今は若い世代が多いさいたま市でも驚異的といわれるスピードで超高齢社会に移行し労働人口も3割減少することが示されています。 市民がつくる「これからの100年」そんな中、今年さいたま市は誕生10周年記念を迎え、「これまでの10年、そしてこれからの100年」をテーマにその準備を進めているところです。国政の現状への反省と「これからの100年」というテーマを考えるならば、目先の利益だけではない将来設計のある政策こそが必要であると考えます。 「政治は暮らし」「政治のレベルは民意のレベル」などと言われてきました。今年は選挙の多い年です。これを機会に、有権者として、今までより一つ多く政治を話題にしてみてはいかがでしょうか。行政や議会を変えていくのも市民の力です。
●12月議会トピックス 市民にとって重要な政策は市長(行政)まかせではなく、議会(議員)が自ら条例として提案する時代になりました。そのための議員の調査研究や技術的研鑚の必要性が高まっています。議会基本条例でうたわれているように、議会の政策立案能力は行政へのチェック機能同様、議会がいかに機能しているかのバロメーターにもなってきます。 「自転車の安全利用を促進する条例」は12月議会でも宙に浮いたまま。 例」議案を提出しました。これはさいたま市議会としては初めて議員が主体的に作った本格的政策条例です。 道路交通法では自転車は車両扱いになっています。当然のことながら、自転車は道路の左側を通行し歩道では人が優先、飲酒運転も禁じられています。しかし、車と違い自転車には免許制度がなく、このような基本的なルールでさえ市民の認識度は低いのが現状です。 また、健康や環境面でも優れている自転車は利便性の高い交通手段であるにもかかわらず、運行スペースが確保されていない道路状況や、市内の交通事故の32%が自転車による事故という事実も見逃せません。 そこで、利用者のルールやマナー、子どものヘルメット着用促進など、安全利用への啓発や周知の徹底をはかり、さらには自転車専用車線などの物理的な基盤整備を促進する取り組みなどを通して、事故の未然防止と安全・快適な自転車利用を促進しようとするのがこの条例のめざすところです。 9月議会に提出した議案は市民生活委員会に付託されましたが、時間があるにもかかわらず審議不十分ということで「継続にしたい」という意見が出され、賛成多数により、閉会中の「継続審査」扱いに。この「さいたま市自転車の安全な利用を促進する条例」議案は12月議会でも継続扱いになり、まだ宙に浮いています。 「さらなる審議が必要」という理由で、議会開会中に議決せず先延ばしにする「継続」という方法はこれまでも使われてきたことですが、議案には賛否を示す必要があり、全面反対でなければ条例案を部分的に修正した議案を出すこともできます。議会の政局がらみや、議員のいかなる思惑があるにせよ市民の理解を得るのは難しい議会内の対応ではないでしょうか。 このまま4月の任期切れで廃案にし、自然消滅させようとする動きも懸念されるところです。 与野都市開発会社再建に14億円投入に賛成しましたが。 2月議会で岩槻都市振興(岩槻ワッツビル)の経営再建への財政支援を議決したばかりですが、今度は与野都市開発株式会社(北与野アル−サビル)の問題が浮上しました。この会社はいわゆる「第3セクター」で旧与野市が出資してアルーサビル経営のためにつくられた会社ですが、ダイエーの撤退により経営が悪化しました。岩槻駅前と北与野駅前、ともに旧市時代の再開発事業に起因するものです。市が財政投資をすべきか否か…。どちらが市民の利益になるのか?まちづくりの視点からの必要性は?経営破綻に陥った場合の市の不利益は?経営再建計画の妥当性は?等々…熟慮の結果、経営再建に向けての14億円の予算案に賛成しました。 賛成多数で議案は可決されましたが、アルーサビル単独の問題としてではなく、新都心周辺の具体的な都市ビジョンを早期に示す必要があると思います。 「事業仕分けに職員は関与するな」という請願が採択に。 11月2日、「民主党・無所属の会」では会派の政務調査活動の一環として「事業仕分け」を実施しました。しかし、実施にいたるまでの議会内での経緯は、統一地方選挙を控えて微妙な時期であるためか、政局がらみで波乱の多いものでした。まず、「民主党・無所属の会」が実施する事業仕分けに、職員が関与しないようにとの請願が9月議会に出されたことから始まりました。「事業仕分け」は事業に責任ある立場の職員とのやりとりが軸になるため職員の出席なくしては実施不可能です。事業仕分けに対する会派の一連の動きを政治活動と位置づけ、よって職員の出席は許されるべきではないとの理由で、事業仕分けの実施を阻止しようとする動きでした。 政治活動ではなく政務調査活動の一環であるとする私たちの主張は通らず、請願は賛成多数で採択されました。 しかし、議案とは異なり、請願に対する議会での決定は制度上行政を拘束するものではありません。そこで、これまでも議会の会派や議員の要請を受け、職員が集会や勉強会へ出席してきた経緯があることから、会派の要請で行う事業仕分けに職員が出席することに問題はなく、無事、事業仕分けは実施されました。 市民仕分け人として参加、あるいは傍聴した多くの市民の声は、市の事業の実態や税金の使われ方が公開の場で議論されることへの関心でした。この仕分けの結果は会派内でさらなる議論をへて、会派の政策提案や議会質問にも反映されることになります。 会派主催の事業仕分けは京都府、横浜市に次ぎ、さいたま市が3例目ですが、さらに増えていきそうです。今後は、実施主体が行政であれ、議会であれ、会派であれ、何らかの形で継続することが望まれます。 「子ども医療費」と「生活保護の扶助費」を補正予算で大幅に増額。 平成21年度から、中学生までの子ども医療費の無料化を実施してきましたが、本22年度はすでに当初予算を大幅に上回りました。12月議会で約9億4640万円の補正予算案が出され可決されましたが、今後の財源不足が危惧されるところです。 コミュニティサイクル導入に コミュニティサイクルは、低料金で1台の自転車を複数の利用者が共有して使う新交通システム。どこのサイクルポートに帰してもよいのがレンタサイクルとの違いです。通勤・通学、買い物、観光など、地球にやさしい移動手段との期待から、横浜、神戸、仙台など多くの自治体でも実験が行われています。さいたま市では平成24年度の本格導入を視野に入れ、9月25日〜10月22日、大宮駅東口を中心にサイクルポートを5カ所(大宮図書館、新都心駅、見沼合併記念公園、盆栽美術館)に設置し、社会実験を行いました。 市の都市交通体系施策「さいたまSMARTプラン」に掲げる「自動車に過度に依存しない交通体系」の実現に向けての課題整理をするためで、自転車普及協会との共同により、昨年丸の内で社会実験をしたJTBに委託しました。 実験後に実施したアンケート結果によると、サイクルポートの設置数や運営時間への不満はあるものの、再度利用したいという声が96%で潜在的なニーズを示しました。自転車の台数調整、採算の問題等運営上の課題を工夫し、機能するシステムとして期待したいものです。 これからのさいたま市の住みよさを左右する 平成21年12月議会で可決され、昨年平成22年4月から施行された「さいたま市議会基本条例」は議会運営上での議会(議員)の役割や責任など、議会が果たすべき原則を記したものです。 また、今現在、さいたま市では自治基本条例の制定に向け、市民主体の検討委員会が設置され活動しています。自治基本条例は市の憲法とも言われるように、まさに市民が主役のまちづくりを担保しようとするもので、そのために行政や議会はどうあるべきか、そして主役である市民の果たすべき役割や責任は何かということなどを明記するものです。 この2つの大きな基本条例こそ、これからのさいたま市の住みよさを左右するものと言っても過言ではないでしょう。 お 知 ら せ ●新春の集い |